2011年10月28日金曜日

2010年11月ピエモンテ旅行記9&10

20101128日~29日 910日 曇り

起床して窓を開けると、アオスタの街はうっすら冠雪していた。

               

5時起床。腕立て伏せ、腹筋運動。毎夜ワインなしの夕食はなかったが、ほぼ毎朝運動を実行した。ミラノの宿のみは狭くて運動どころではなかったが。

荷造り、入浴。

10時前、ミラノ・マルペンサ空港に向けてホテル・アルベルゴ・ミッレルーチェを出発。

来年(か再来年)のワイン・ツァー日程について、冗談とも本気ともつかない話しをSさんと交わす。行き先候補のお薦めはサルデーニャ。イタリアだけでなく、田崎眞也さん、あるいは菊池美升さんのお世話でブルゴーニュなどにも行きたいものだ。

きっかり2時間でマルペンサ空港着。

行列もなくごく短時間でチェックイン完了。二人のガイドさん達とは、Bゲートの持ち物検査場でお別れ。日本での再会を約す。

                                  
予定より1時間5分遅れで1540分離陸。エコノミーだけれど席の位置は最上だった。

10 11291040分、成田に予定通り着陸。リムジンバスにて新宿まで。その後中央線で国立へ。14時頃自宅に帰着




後記:
この旅行は得難い機会だった。日本語のできるイタリア人ソムリエがガイドであるという考える限り最上のグループであり、お蔭で普段入りこめない領域にまで踏み込んで見聞することができたと思う。
 
 伝統的ワイン生産地で、伝統に安住しない生産者の存在を知り、就中、エリオ・アルターレさんとロベルト・ダモンテさんの謦咳に接することができて感動的でさえあった。

 日頃から造り手が第一とは思っていたが、ワインは人なりということをこの旅行で改めて認識した。

2011年10月26日水曜日

2010年11月ピエモンテ旅行記8-3

20101127() 8 (つづき2)

2030分から3時間近くかけた、本旅行最後の晩餐。

リストランテ・ヴェッキオ・リストロは、アルフィオとカーティアのヴェッキオ夫妻が経営するレストラン。シェフの一人が「ヨシ」と呼ばれる若手の日本人であった。帰りがけに挨拶を交わす。

ワイン52 泡

造り手とワイン名:Gosset Grand Reserve Brut NV.

               

評価:泡立ちあくまで細かく盛ん、やや薄めの黄色で、期待に違わぬきりっとした辛口。喉越しが滑らかで余韻も長く極めて美味。

ゴセは、世界最古のシャンパンハウスで、それだけのことはある。創業1584年。豊臣秀吉の時代である。

年産平均40万本。自社畑12haで約2.5割を賄い、残りは30近くの村の45haの畑から長期契約でぶどうを買い付ける。

グラン・レゼルヴは、シャルドネ45%、ピノ・ノワール55%。「文字通りゴーセイ」(山本博)なシャンパン。


ワイン53 赤

造り手:Gaja. 

ワイン名:Barolo Gromis DOCG 1999. 

             

評価:香りが閉じていて、渋みの力強さが今一歩。ただ肉料理になると本領発揮で、タンニンが俄かに生きてくるのを感じた。Gambero Rosso 1999年から2010年の12年間にグロミスが取り上げられたことはない。


ワイン54 甘白

造り手:Salvatore Murana. 

ワイン名:Moscato Passito di Pantelleria Martingana DOC 1999.

                                

評価:かの有名なムラーナさんのジビッボ種による少量生産のパッシート。女主人カーチャさんによると「パッシートの王様」。1999年物はGambero Rosso 2004, 色つき2グラス、価格帯$48.01以上。
3グラスは取れなかったが、凝縮感がある優雅な品の良いワインである。あんずといちじくの香り。そして果物とカラメルの甘く、深みを持った優美な香り」(同書、p. 779)。収穫後5年を経て初めて市場に出た。


料理はさすがに一流で、土地の名物メニューを堪能した。ワインも素晴らしく、特にゴセのシャンパンは美味であった。

ゴセのグラン・クリュはこのような上質の味なのだということを初めて知った。赤をガイヤのバローロ・グロミスにしたが、もう少し奮発してバルバレスコにすべきであった。

甘口は、店のマダム、カーティアさんのことばを借りれば「パッシートの王様」であるサルバトーレ・ムラーナさんのパンテレッリアのジビッボ種のパッシート。お店としては敢えてデカントしなかったのか、濁りがあったが、甘美な甘口ワインだった!

Sさんと私は3皿のコース料理、他の4人の女性は2皿にしたにも関わらず、皿にはかなりの量の食べ残しが出て、折角のムラーナさんのパッシートさえ残す有様。勿体なく、ムラーナさんはじめ、料理を作ったシェフ、デザートを作ったパティシェ、またサービス担当のカーティアさん他のスタッフに申し訳なかった。

旅籠に戻り午前0時に就寝。

             

(8日 終わり)

2010年11月ピエモンテ旅行記8-2

20101127() 8(つづき1)

お昼はRossopomodoro 於。

              
ナポリ本店のチェーン店。A Bavetta を注文。Linguine のこと。ソレントのレモンをほうれん草のパスタに絞ったもの。

ワイン51 白
造り手:Monte Sole. 

ワイン名:Fiano di Avellino DOCG 200?. 

                               

評価:Gambero Rosso 不掲載。さもありなん。

1440分頃から50分程度でクールマイヨールへ着いた。途中から降雪が始まり、着いてみるとマイナス6度でさらにしんしんと降り続いた。記念撮影のみで早々に下山。

                            
                          
16時、ホテルに帰着。19時までの間に、翌日帰国のため荷造り下準備。昼寝してうとうととした。

19時集合、ホテルのロビーで、ゲーム大会。いずれも中国製のゲームで、日本でいえば、双六風のものと将棋の山崩し風の2種。大盛り上がり。

           

ゲームの順位にはかかわりなく景品がSさんから渡された。まずアオスタの特産品のコッパ・デラ・ミチチェス。

              

そして旅行招待券。参加者各々の趣味に合わせた趣旨のイタリア旅行への手書きの割引招待券(有効期限201212月末)だった。

参加者からガイドさんへのお礼の品は、グレシィ侯爵家の甘口ワインL’Altro Moscato500ml3本。

その後夕食のため車でアオスタ市内の、ミシュラン1つ星レストラン、リストランテ・ヴェッキオ・リストロRistorante Vecchio Ristoroへ繰り出す。

(8日 つづく)

2010年11月ピエモンテ旅行記8

20101127() 8 曇り

10時ホテルを車で出発、再度アオスタ市街へ。

               
ローマの円形劇場遺跡等見学。

                                
市庁舎内の、アオスタ州優良木彫り職人の作品を集めた物産館で、土地に縁のにわとりの木彫りを2点購う。買い物の続きは、男女に別れて。ラギオールの左利き用ソムリエナイフを探すが、右利きを含め市内にはないことが判明。

事件発生。ワインの緩衝材のために文房具屋を探して町を歩いていると、突然カラビニエーレのパトカーに呼び止められた。何事かと思ったが、2人一組の警官がパトカーから降りてきて、職務質問された。「日本人か?」「英語は話せるか?」「パスポートを見せなさい。」と私に、またSさんには「ここで何をしているのか?」「パスポートを出しなさい。所持していないのなら、何か身分証明書を出しなさい。」と矢継ぎ早に。
私については、パスポートの入国スタンプで1週間前に入国した単なる観光客であって不法滞在者ではないことが判明した。
Sさんは、観光客のガイドをしていることを説明し、パスポートは別のガイドに預けていて所持していないが、写真付きの別の身分証明書(日本の運転免許証!)なら所持しているので、見せたところ、2人とも解放された。
一体何が起こったのか、何故こんなことになったのか、と後で考えた。その結果、Sさんが道行く人に文房具店の場所を尋ね反対方向だというので、2人して急に振り返って歩き始めたところ、近づいてきたパトカーのカラビニエーリは、パトカーを見て東洋人が逃げ始めたと勘違いしたのではないだろうか、ということで意見が一致した。すぐに無罪放免で事無きを得たが、ヒヤリとした。

carabiniere  (『小学館伊和中辞典 第2版』1999年より)
1 国防省警察官、憲兵、カラビニエーレ(軍の任務のほかに、司法や公安の任務にもつく特殊警察) 
2 《史》カービン騎兵(1814年エマヌエーレ2世の創設した一部隊).➤カラビニエールは1814年創設のサルデーニャ王国の近衛兵 carabinieri reali に始まり、1861年に憲兵隊となった。現在、約10万人の兵員をもち、内務省に属する公安警察Pubblica Sicurezza と協力して、市民の治安を守っている。

ひょんなことから、オッフェンバックの喜歌劇『盗賊』にも登場する、カラビニエーリの現在の姿に接する機会を得た。ポリツィアとは別の、公安警察類縁機関なのである。

昼食はアオスタの町外れのチェーン店トラットリアで。

(8日 つづく)

2010年11月ピエモンテ旅行記7-2

20101126日(金)7(つづき1)

アオスタ市街散策。
                             
土産物屋で、明らかに偽物とわかるラギオールのソムリエナイフ(12.00)を購う。中国製!話のタネにはなるか。
                               
買い物散策後、アオスタ中心街のトラットリア・プレトリアで夕食。
                                
ワイン49 白 ボトル写真、記録なし

造り手? 
ワイン名:Vallee d’Aosta Gewuerztraminer DOC 200?.

ワイン 50 赤

造り手: Anselmet. 

                                
ワイン名:Le Prisonnier Vin de Table 200?. 
  4種の土着品種の混醸。40 Petit Rouge, 35% Cornalin, 5% Mayolet, 20% Fumin.  

評価:「囚われ人」という意味か。Gambero Rosso 20102009 では2007年物と2006年物が各々1グラス、価格帯$24.01$36.00
「アンセルメ社は、いまやヴァッレ・ダオスタ・ワインのバンカーである。」(ガンベロ・ロッソ2010p. 18)「いまやヴァレ・ダオスタのリーディング・ワイナリーとしての地位を確立し、地域特性とヴァレ・ダオスタの伝統を体現した幅広い多様なワインを市場に送り出している。」(ガンベロ・ロッソ2011p. 36)。
5haのぶどう畑を伝統農法で栽培し、毎年3.5万本のワインを造っている。白ワインの評判が高いが、赤ワインでも土着品種を使って頑張っている。
地ワインとして現地で飲む美味しさは格別であった。もっと知られてよいワイナリーだと思う。

23時頃旅籠に戻る。

                                              

(7日 終わり)

2011年10月24日月曜日

2010年11月ピエモンテ旅行記7

20101126日(金)7 晴れ

940分、ヴィラ・ティボルディを出て、Sシモーネさんの知人のトリュフ職人が住む町、アルバへ車で向かう。

10時半から小一時間、トリュフ探し見学。

トリュフ職人として50年の経験を有するグイド・チェルッティGuido Cerutti さんは、本業は建築士だが、趣味が高じてトリュフ職人になった。

5歳のセッター犬ビルと一緒にトリュフの収穫地へ向かう。収穫地、職人の資格、犬の鑑札等すべて法律によって規制されている。

ビルは、今年5歳だが、他のトリュフ犬と同じく2歳時から訓練を始め2年間かかってようやく資格を備え、昨年来チェルッティさんに飼われて活躍している。

              

トリュフは、ポプラ、オーク、シナの木の林で生息する菌類で、植物ではない。

トリュフの収穫は、夜間に行われ、通常夜の8時から翌早朝4時頃までの8時間がかりで探すそうだ。昼間にトリュフ探しをする模様がテレビで放映されることがあるが、それはやらせ。

11時過ぎ、アオスタへ向けて移動。

写真は、高速道路上から撮ったもので、アオスタ近郊の南に面した急な斜面にまで栽培されているぶどうの畑である。

              

昼食をアオスタ手前のイッソーニュIssogneのレストランAl Maniero で摂る。

              

ワイン48
造り手:La Crotta di Vegneron.

ワイン名:Vallee d’Aosta Mueller-Thurgau DOC 2009. 

                 
評価:品種典型香の出た、爽やかな辛口の佳品。Gambero Rosso 2010, p. 19, では2008年物が1グラス、価格帯€7.51~€13.00[2011ed.ではグラスは付かなかった]。創業は1980年で、初ヴィンテージは1985年。35haのぶどう畑を持ち、年産30万本、伝統農法による栽培を行っている協同組合で、郷土愛に溢れる120人の栽培家によって運営されている。アオスタ特有品種のフミンや、ミュスカのパッシートが上質であることで知られている。

昼食後、イッソーニェ城Issogne Castle見学。

城の起源はローマ時代にまで遡るが、現存する城は12世紀のもの。当時、城や要塞伝いに情報伝達が行われ、馬であれば3日かかるところが城と要塞でのろし等を使うと3時間で伝えられたという。

17時過ぎ、ホテル、アルベルゴ・ミッレルーチェ着。アオスタ市街を見下ろす高台にあり、夜景が美しいところから、「千の光」という名前を持つ旅籠。

            
宿から見たアオスタ市街とアルプス。

              

一休みしたあと、車でアオスタ市街へ。散策。

(7日 つづく)

2011年10月22日土曜日

2010年11月ピエモンテ旅行記6-6

20101125日(木) 6(つづき5

20時過ぎから、ロカンダ・ネル・ボルゴ・アンティコLocanda nel Borgo Anticoにて夕食を愉しむ。23時頃まで。

ロカンダ・ネル・ボルゴ・アンティコは、バローロ地区の、街灯もなく真っ暗なモンフォルテ村のぶどう畑の中から、忽然と姿を現した。ミシュラン一つ星の、現代的で洒落た内装のレストラン。トリノのデル・カンビオでは歴史と伝統に気圧されるようなところがあったが、ここは意外と落ち着ける。

車なしには行けないレストランの下見と当日の運転に対しSさんに感謝。

               

ラム・チャップを頼んだら、一人だけ前掛けをされてしまい、格好の被写体になった。

              

ワイン45 白

ワイン名:Vigneti Massa. Costa del Vento Timorasso Derthona Colli Tortonesi DOC 2007.

             

評価:イタリア人のSさんさえ知らない品種、ティモラッソの白ワイン。シャルドネやソーヴィニヨン・ブランといった国際品種にはない、特徴的な香りと味をもつ。黄色系果実の香り、輝き透明感のあるやや濃い目の黄色。酸分がしっかりしたコクのある辛口。

「乾いた麦わら色。レモンドロップ、メーラコトーニャ、火打石、スズランなどのかっちりした香り。柑橘系皮的な苦みと張りのある酸味が一体となり、底辺からミネラルを押し上げる。ふっくらとしながらもしっかりとした骨格があり、すべての要素が強く結合している。ミッドからの抜けも最高で、品種のポテンシャルの高さに驚かされる。」と、2004年物を飲んで言った方がいる(中川原まゆみ『土着品種で知るイタリアワイン』2007年、p. 213)。

造り手のヴィニェーティ・マッサ社は、19.5haのぶどう畑を所有し、自然農法で、年に8万本を造っている。

2007年物は、Gambero Rosso 2010, p. 166, 色つき2グラス、価格帯€20.01~€30.00


ワイン46 赤

ワイン名:Elio Altare Viticoltore. Langhe Arborina DOC 1999.

            

評価:ネッビオーロ100%。カンティーナ名Elio Altare の前にAzienda Agricola Cascina-Nuova と、わざわざ Nuova ()と表記されている。。今日午前中に試飲したエリオの藏に敬意を表し、ワインリストの中で一番古いヴィンテージのランゲ・アルボリーナを選んだ。

ソムリエが、デカントされますかと私に尋ね、答えられないといったところ、彼は、このような偉大なワインはデカントすべきではないという意見で、デカントしないで供された。

紫から赤味を帯びた透明感のあるルビー色、ネッビオーロ特有の香りが馥郁と立ち昇る。柔らかにタンニンがこなれ、得も言われぬ調和のとれた味わい、長い余韻。感動的なおいしさ!

Gambero Rosso 2002, p. 82, 色つき2グラス、発売時の価格帯$40.00以上。2006年物は€60.00


ワイン47 甘口白

ワイン名:La Spinetta. Piemonte Moscato Passito Oro DOC 2004.

               

評価:モスカート・ビアンコ種のパッシート。ラ・スピネッタの自信作とのこと。やや濃い目の麦わら色、粘着性豊か。甘すぎず、後口の切れの良い、極甘口の白ワイン。品の良い甘さ、余韻も長く、一夕の食事を締めくくるに相応しい、力強い甘口ワインであった。
Gambero Rosso 2010, p. 156, 色付き2グラス、価格帯€30.01~€40.00


ミシュラン一つ星のレストランでの夕食を心ゆくまで愉しんだ。料理とワインと会話と雰囲気を。
白ワインは、ティモラッソという聞いたことのない品種。土着品種の一で、19世紀には、醸造用としてだけでなくとても美味しい生食用ぶどうとして、ピエモンテ州のトルトーナやノーヴィ・リグレ、ヴァッレ・ダオスタ州、パヴィアで栽培されていたことが知られている。1960年代から70年代にコルテーゼで造られるガヴィが成功したことで忘れられかけたが、可能性に着目した栽培者たちによってトルトーナ付近で顕著な復活を遂げたとのこと(中川原まゆみ前掲書による)。 

赤はエリオ・アルターレのランゲ・アルボリーナの11年経ったもの。すこぶるつきのおいしさで、一切損なわれるものなく藏からそのままの姿で今日の食卓に上ったと思わせる清冽なおいしさ。厳かささえ感じさせる、品格のある赤ワインだった。

ガンベロ・ロッソ2002年版によると、前年(1998年物)のランゲ・アルボリーナ(とラリジとラ・ヴィッラ)は、3万個のロットのコルクに(非常に高価で高品質であったにもかかわらず)問題があって、その問題を抱えたままそれらのワインを市場に出すことはできないとエリオは判断し、2000年(イタリアでは21世紀初ヴィンテージ)は大騒ぎだったとのこと。



午前様ぎりぎりに、ホテルに戻る。長ーい充実した一日だった。就寝。

                                                         (6日 終わり)